芸術は心のごはん🍚

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今、お薦めしたい児童文学 〜赤い蝋燭と人魚〜

今日は、日本の童話「赤い蝋燭と人魚」(小川未明:作)について、書きたいと思います。

私がこの童話の存在を知ったのは、小学校の図書室にあったのを見かけた時でした。確か、いわさきちひろさんがイラストを描かれていた本だったと思うのですが、幼かった私は、表紙の女の子の表情があまりにも悲しげで、当時は結局読もうとしませんでした。きっと悲しいお話なのだろうなと、子供ながらに思ったからです。

 

それから、ずっとその本のことを忘れていたのですが、大人になり、親になり、子供へ読み聞かせるために、初めてその物語を読みました。その時、読みながら、もっとはやくこのお話を読んでおくべきだったのではないかと感じました。

 

この物語は、悲しい物語です。ですが私は、この物語は、とても鋭い示唆に富んだ「傑作」だと思います。私は、この本は、どちらかというと、子供に与える前に、一人でも多くの大人の方々に読んで頂きたいと思いました。

私は、児童文学には、読む時期に「何才くらいから」という目安はあっても、「何歳まで」という制限はないと、常々思うのです。

私が読んだ本は、学研さんから出ている、こちらの本です。

「赤い蝋燭と人魚」の他に、「泣いた赤鬼」他、15話のお話が載っていて、私は、お勧めです。

 

心にのこる日本のどうわ15話 (名作よんでよんで)

心にのこる日本のどうわ15話 (名作よんでよんで)

 

 

身ごもった人魚がおり、彼女は考えました。生まれてくる子供は、母であっても、人魚である自分よりも「優しい・情が熱い」と言われる人間の手で育てられた方が幸せになれるかもしれない…そうして、海辺に住むおばあさんに赤ん坊の娘を拾わせました。そして蝋燭屋を営む貧しい老夫婦が、その人魚の娘を育てる事になります。

娘は、老夫婦に大事に育てられ、美しく優しい娘に成長します。しかし、人魚であったので、家の奥で、静かに暮らしていました。娘は、おじいさんが作った蝋燭に、自分が絵を描いたら、もっと蝋燭がお客さんに喜ばれるかもしれないと提案し、蝋燭に絵を描くようになります。

その(不思議な効力のある)美しい蝋燭が評判となり、たくさんの人々がその蝋燭を買いに来るようになってから、だんだん老夫婦も、周りの人間たちも「大切な何か」がわからなくなっていきました。

 

このお話の結末は、本当に悲しく、切なく、恐ろしいです。

ですが私は、この物語から「想像力」というものの大切さを、改めて教えられたように思います。私は、「想像力」とは、周りの人々に対する「優しさ、思いやり」や、こういう事をしたら先々どうなるかという事を察知する「知力」に結びつくと、感じています。

 

私は、このお話を、

子供を持つ「ご両親」

子供を預かり育てる「教育者」「指導者」

人の上に立つ、国や組織を動かす立場にある方々に、一人でも多くの方々に知って欲しいと願っています。