追記※ 最初に投稿したのち、不完全な部分、登場人物の名前の誤記等が見つかり、大変申し訳ありませんでした。全部直したつもりですが、まだ間違えがありましたら、申し訳ありません。気付き次第、また直したいと思います。
追記※ 文章の中の、セリフの一部等は、新潮文庫さんの「ピアノ・レッスン:ジェーン・カンピオン/斎藤敦子 訳」を引用させて頂きました。
今日は、思い切って、この映画について、じっくり書かせて頂きたいと思います。
映画「ピアノ・レッスン」(原題:THE PIANO)です。
《スタッフ》
監督:脚本 ジェーン・カンピオン
プロデューサー ジェーン・チャップマン
《キャスト》
エイダ ホリー・ハンター
ベインズ ハーヴェイ・カイテル
スチュワート サム・ニール
フローラ アンナ・パキン
19世紀、スコットランド。
エイダは、幼い頃に言葉を話すことをやめ、ピアノと向き合ってきた女性。父親の命令で、写真見合いで結婚する事になった相手の住むニュージーランドへと、9歳の娘フローラと、大切な「ピアノ」と共にやってきます。
長い船旅を経て、細々した多くの荷物と、大きな「ピアノ」と共に、彼女たちは、ニュージーランドの海辺に上陸します。悪天候のため、一晩そこで野宿を強いられた彼女たち。翌朝、夫となるスチュワートは、マオリ人たちと、白人の「隣人」である、ベインズと共に、エイダたちを迎えに来ます。
しかしスチュワートは、大事なピアノだけを「運ぶのが困難だ」という理由で、海辺に置き去りにし、彼女たちを家に連れて行くのです。
ピアノはエイダにとって、体の一部のような、無くてはならないもの。身を切られるような思いで振り返り、浜辺のピアノを心配そうに見つめるエイダ。
結婚式が済み、悪天候もおさまった朝、エイダは、娘と共に、「隣人」ベインズの
家へ行き、ピアノのある浜辺に連れて行って欲しいと依頼。彼女たちの情熱に負け、
3人は、再びあの浜辺へ。最悪の環境だったにもかかわらず、ピアノは壊れていませんでした。水を得た魚のように、何時間もピアノを弾き続けるエイダ。そのそばで、無邪気に踊ったり、砂遊びをするフローラ。その、無垢で美しい情景を、黙って見守るベインズ。
その後ベインズは、スチュワートと取引をします。
「欲しがっていた土地と、あのピアノと交換してくれ。君の奥さんにピアノ・レッスンをして欲しい」
それを勝手に承諾してしまうスチュワート
ベインズはマオリ人たちを雇い、ピアノを運ばせ…こうして、エイダの「ピアノ」は、彼女と夫の家では無く、ベインズの家へと落ち着くのです。
男たちの勝手な仕打ちに激怒し、首にかけたメモ紙とペンで抗議するエイダ。
「ピアノは、私のものです!」しかし、その言葉の意味が、スチュワートには分からない。そんな彼でも、性的な事では、妻と義理の娘に遠慮し、強引に行動をおこすことは、ためらうのでした。
一方、ベインズは、エイダを「ピアノ教師」と称して家に招き入れ、ピアノを弾く彼女に一層激しく惹かれていきます。
ピアノを弾く彼女の魅力に耐えがたくなったベインズは、今度はエイダに取引を持ちかけます。
「あんたがピアノを弾いている間、俺にしたいことをさせてくれ。もし、あんたがそれを許してくれるなら、ピアノは返そう。」
「一度来るごとにキー一本ではどうだ?」
激しく、動揺しつつも、思案するエイダ。そして彼女は、自分の黒いドレスを指差します。
「黒鍵一本ずつってこと?」
「わかった、わかった、黒鍵でいいよ」
こうして、彼らと彼女の奇妙な三角関係は、3人の大人たちの、不器用で無垢な情熱のまま、止めようもないある方向へと、突き進んでいくのです。
ホリー・ハンターさんのセリフは、確か、冒頭とラストのナレーションだけだったと思います。(違ってたらすみません)彼女は、確かに非常に小柄で華奢な女優さんですが、私はやはり、とても大人の可愛らしさ、個性的な魅力の持ち主だと思います。そして素晴らしい女優さんだと思います。本当は、声も可愛らしい声なのです。
ピアノを弾く彼女も、無言ではっきりとした意思表示をする彼女も、服を脱いだ彼女も、私は美しいと思いました。
ベインズ役のハーヴェイ・カイテル氏は、私の中では、「天使にラブソングを」で、悪役をやっていたのも印象的でしたが、「ピアノ・レッスン」の彼も素晴らしいと思います。ベインズは、エイダに対する思いを募らせ、苦しみ、どうせ彼女に愛してもらえないのならば…一度は、彼女を諦めよう、彼女の気持ちと幸せを尊重しようとします。とても難しい役だったと思います。
スチュワート役のサム・ニールさんは、私は、ドラマの「ケインとアベル」の演技も印象的な役者さんです。スチュワートの不器用さ、優しさ、強引さにも、私は心打たれました。
そして、娘フローラの存在も、本当に素晴らしかったです。助演女優賞は、正当な評価だったと思います。不器用で、少々勝手な大人たちに翻弄されつつも、彼女は彼女なりに、その日その日を無邪気に主体的に暮らしていきます。
浜辺で無邪気に、自由に、アクロバティックに踊り、
「ママ、見て見て」と叫ぶ彼女の姿は、本当に印象的です。
そして、マイケル・ナイマン氏の音楽がまた、とても素晴らしいのです。
その中の「楽しみを希う心」(原題:THE HEART ASKS PLEASURE FIRST)
が大好きで、ブログのタイトルを「楽しみを希うオバちゃん」にした訳なんです。
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