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ディケンズ魂 〜「二都物語」下巻について「あなたの愛するこの生命」〜

こんにちは!

今日は、「二都物語」下巻について書きます。

 

※下記の文章の中の台詞の部分は、「二都物語中野好夫訳/新潮文庫」より、引用させて頂きました。

 

《下巻あらすじ》

ダーニーの求婚に応じ、父の祝福を受け、ルーシー・マネットは、チャールズ・ダーニーと結婚する事となる。父娘は、結婚を迎える喜びと共に、親子水入らずの時間を大切に過ごす。

 

結婚式当日。式に向かう前に、ダーニーは、以前からの約束通り、マネット氏だけに自分の本名や生い立ちを打ち明ける。

式が済み、若い二人を新婚旅行へと見送った後、マネット氏に異変が起きる。

彼は、なんらかのショックのため、幽閉生活時の廃人状態に戻ってしまった。

今は家族同様の間柄となった、銀行員ロリー氏と、家政婦のミス・ブロスは慌て心配するが、数日後、マネット氏は、自然に本来の氏に戻る。

 

何事もなかったように、旅行から帰った新婚夫婦を迎える家人たち。そして、シドニー・カートンもお祝いの挨拶にやってくる。彼はさりげなくダーニーと二人になると、今後も、ダーニー一家と友達付き合いをさせて欲しいと願い出る。ダーニーは意外に思いながらも、彼の要求に快く承諾するが、以前から、カートンの自堕落ぶりに呆れ気味だったダーニーは、(カートンのいない)夕食の席で、カートンの生活について非難めいたことを口にしてしまう。

その夜、ダーニーが部屋に戻ると、妻ルーシーが、何か言いたげに彼を見つめて立っていた。

「(理由は言えないけれど)私はね、チャールズ、あのカートンさんて方、今夜あなたがおっしゃったような人じゃない。もっと同情もし、尊敬もしてあげてもいい人だと思うの。(略)私には何か、いいこと立派なことも結構やれる人、いいえ、すばらしい気高いことだって、立派にやれる人だって気がするのよ。」

だから、私たち家族は(夫ダーニーも)、カートンに優しく接していくことを忘れないで欲しいと懇願するルーシー。夫の自分に気遣いながらも、そうした優しさを見せる妻に対し、更に感動と愛おしさを感じたダーニーは、彼女の願いを承諾する。

 

穏やかで幸福な生活をおくるダーニー一家、やがてかわいい子供たちも誕生する。可愛らしい幼女のルーシーと、不幸にも幼くして亡くなってしまう小さな坊やにとっても、時折訪ねてくるシドニー・カートンは、常に優しく頼もしい「カートン小父ちゃま」であった。

 

そしてダーニー一家の祖国であるパリでは、ついにフランス革命の火が燃え上がった。

ある日ダーニーのもとに、フランスの元召使から助けを求める手紙が届く。

考え抜いた末、家族に手紙をしたためて、ダーニーは、単身、パリへと向かう。

 

フランスの現状は、彼の予想以上に凄まじく、元貴族の彼はたちまち捕らえられる。

実は、彼が幼いころ別れた実父と叔父が、貴族としての特権を濫用し、小作人たちに酷い仕打ちをしており、そうした悪事を知られたマネット医師を牢獄に幽閉した張本人だったのである。

彼の後を追って、フランスへ駆けつけたマネット父娘と幼いルーシー。銀行のパリ支店に勤務していたロリー氏と一家は、ダーニーを救うために奔走する。 シドニー・カートンも、彼らのためにパリにやってくる。

家族の努力もむなしく、有罪の判決をうけるダーニー。あまりのショックに倒れこむルーシーを力強く支え、彼女たち一家を家へと送り届けたカートンは、一つの決意を胸に、その場を後にする。その時、彼が、気絶したルーシーに向けて小さく呟いた言葉を、幼いルーシーは、ずっと忘れなかった。

「あなたの愛するこの生命」

 

二都物語 (上巻) (新潮文庫)

二都物語 (上巻) (新潮文庫)

 
二都物語 (下巻) (新潮文庫)

二都物語 (下巻) (新潮文庫)

 

  

結末はあえて書きませんが、この物語を、私は愛してやみません。

 

お付き合いありがとうございました。