樋口一葉「たけくらべ」の内容 その六 〜 雨にぬれた紅葉の友仙 〜
今回も「たけくらべ」
クライマックス 後半 要約(?)です。
13 時雨の朝 格子門 ごし (後編)
(足止めを食っているこの場所が)大黒屋の前だと慌てた信如。しかし
生憎(あやにく)の雨、あやにくの風、(原文より)
鼻緒が切れ、詮無く紙縒をよっているのは、辛く耐えられない心地だったところへ、
飛石の足音は背より冷水(ひやみづ)をかけられるが如く、顧みねどもその人と思ふに、(原文より)
わなわなと震え、動揺の表情を隠す様に(?)背を向け、なおも鼻緒を直す事に専念するふりをしても、(本当は上の空で)埒があかない様子。
(門内側から、それをのぞいていた)美登利は、
ゑゑ不器用なあんな手つきして(原文より)
(紙縒は)逆よりだし
・・省略・・
それそれ羽織の裾が地について泥に成るは御存じないか、あれ傘が転がる、あれを畳んで立てかけて置けば好いにと一々鈍かしう歯がゆくは思へども、(原文より)
(美登利は)さあ、この裂れを使って・・と声をかける事もできず、雨に濡れながらも、立ち尽くしているだけ。
そうとも知らない母親が、遥か屋内から呼ぶ声がする。
美登利さんは何を遊んでいる
・・省略・・
また風邪を引きますぞ
と呼ばれたので、
はい今行きますと大きな声で言い、それが信如に聞こえたのは恥ずかしいのに、胸はわくわくし、(あける勇気はない)門のそばで、戸惑いながらも何かしてあげたくて、
格子の間より手に持つ裂れを物いはず投げい出せば、見ぬやうに見て知らず顔を信如のつくるに(原文より)
(ショックを受けた美登利は)
本当に意地悪なんだから💢 (ゲーノ 勝手な 訳 m(_ _)m)
少し涙目、恨み顔になり、動揺と怒りを募らせるも
また母親の声がしばしばかかったので、
動揺と怒り、恥ずかしさと未練を残しながらも、身を翻し、
かたかたと飛石を伝ひゆくに、(原文より)
信如は今やっと淋しく振り返ると(現代語訳)
紅入り友仙の雨にぬれて紅葉の形のうるはしきが(原文より)
自分の足の近くに散らばっていた。
綺麗だなと思ったのだが、手に取る勇気もなく空しく眺めるだけ(ゲーノ 訳m(_ _)m)
我が不器用をあきらめて(原文より)
(役に立ちそうにない)その場しのぎの事をして、仕方なく立ち上がった信如は、二歩ばかり進みかけ
友仙の紅葉目に残りて、捨てて過ぐるにしのびがたく心残りて見返れば、(原文より)
信さん、その(みっともない)なりはどうしたんだ、と不意に声をかけられた。
驚き、(反対側に)振り返ると、声の主は長吉だった。
(長吉は)今廓内(なか)からの帰りらしく・・省略・・(服装がどこか?)誇らしげである。
もしかして・・長吉・・女性経験ありって事・・?(ゲーノ 勝手な 解釈m(_ _)m)
僕は鼻緒を切ってしまつてどう為ようかと思つてゐる、本当に弱つているのだ、(原文より)
と信如が言うと、
そうだろう(頭脳派の?)お前にそれはできないだろう・・と、言葉は荒いが、根は親切な長吉が、自分の下駄を履いて行きなよ・・と、言ってくれる。
それでもおまえが困るだらう。(原文より)
悪いよ悪いよ(信如)俺はいいからいいから(長吉)・・と言う、二人の男の友情的やりとり。
人には疫病神のやうに厭はれながらも毛虫眉毛を動かして優しき詞をもれ出るぞおかしき。(原文より)
その下駄は俺が(信如の家の)台所に放り込んでおくよ・・等々、世話を焼き、
後刻(のち)に学校で逢はうぜの約束、(原文より)
信如は田町へ、長吉は家の方へと
行別れるに思ひの止まる紅入(べにいり)の友仙は可憐(いぢら)しき姿を空しく格子門の外に止めぬ。(原文より)
十三章終了。
信如は、紅葉の友仙を、さぞかし持って帰りたかったんだろうなと。
でも、長吉の前では、それができなかったのでしょうか。
美登利の方は、運動会の時、ハンカチを拒否られたことが思い出されたのでしょうか。
今日のBGMは、悩みましたが、こちら、米津玄師さんの「Lemon」です。
信如と米津さんて、なんとなく、よくは知らないのですが、個人的にイメージが重なるところがある様に感じます。
という訳で、
信如が美登利と、(まともには)会い損ねる日って・・
結構雨なんだね
と、改めて思いました。
参考文献はこちら
ありがとうございます。