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樋口一葉『たけくらべ』について 「秋」第十章・第十一章の感想・解釈  「秋雨の夜」

 こんにちは。

皆様、いかがお過ごしでしょうか?

今日は、雨降りでした。

今回は、「たけくらべ」の第十章、十一章の「秋雨の夜」について書きます。

 

第十章(後半)

 

 秋風が涼しくなってきた、そんな折の、秋雨しとしと寂しい夜。

 戸を閉めていた筆やの中で、美登利と正太郎、その他に小さい子供が、おはじき遊びをしていた時。

 美登利が、外に誰かお客がきた気配がすると言い、それを聞いた正太郎は、仲間が来たのかと喜びます。しかし、その気配はふっと途絶えてしまいます。

 

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第十一章

 

 正太郎が戸を開けて「ばあ!」と言いながら顔を出すと、客らしかった人は、遠くをぽつぽつと歩いて行くところでした。

 それが信如だとわかった正太。美登利に、

声をかけても無駄だよ、あいつだから

と答えながら、自分の頭を丸めて見せます。信如の悪口を並べつつ、後ろ姿を名残惜しそうに見送る美登利。

 正太郎にどうしかしたのかと声を掛けられ、慌てる美登利。取り繕う様に、また信如の悪口を並べ立て、正太郎に同意を求めます。

 そんな二人のふざけたやり取りに、筆屋の中が盛り上がります。筆屋の女房にもからかわれた幼馴染の二人でした。

 

 

 秋雨の夜、筆やに入ろうとして、美登利と正太郎が仲良く遊んでいるのがわかった信如。

 筆も買わず、気配すらも消して、こっそり、とぼとぼと帰っていきます。それ程、辛かったのかも知れません。

 

 そんな事情を知らない美登利。

 後ろ姿をいつまでも見送る程、本当はとても気になるのに、それまでの屈辱もあり、声をかける事は出来ません。

 信如の悪口を並べ立てて、正太に同意を求めます。

 

 そんな中で、筆やの女房に、からかわれる正太と美登利。正太は動揺してムキになりますが、美登利は冷静でした。

 

 

 美登利の方は、自分が店内にいたから、信如は必要だった買い物もせずに帰ってしまったのかもしれない、それ程嫌われているのかもしれないと感じ、改めて、がっかりしたのかもしれないと思いました。

 

 

お付き合い、ありがとうございます。