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樋口一葉『大つごもり 』私なりの現代語訳  〜 その1 〜

こんにちは。

 

11月も2週目ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

私は以前、樋口一葉さんの『たけくらべ』の現代語訳に挑戦しました。

 

今回は、もうすぐ師走なので

『大つごもり』(大晦日の意味)の自分なりの現代語訳をやってみようと思いました。

こちらは、現代語訳を読んでいないのですが、自分なりにやってみようと思いました。

 

 

お金持ちの家に、女中として奉公する事になった少女、お峯。厳しい寒さと厳しい仕事に、健気に耐えて暮らしています。

 

樋口一葉さんの作品は、悲しい物語が多いのですが、個人的に『たけくらべ』と『大つごもり』だけは、100%悲しいだけのお話ではないと思いました。

 

少しづつ、やっていきます。

 

 

 

樋口一葉『大つごもり』 私なりの現代語訳

 

 お峯の奉公先、山村家の井戸は車で、綱の長さは二十二メートルくらいもある。台所は北向きなので、師走の空のから風が、ひゅうひゅうと吹き抜ける寒いところだ。

(おお耐え難い)

と、お峯は、かまどの前で体を火にあてる一分が、ついつい延びてしまうのだが、たき木くらいの事でも、大ごとにされて叱り飛ばされてしまう女中の身は辛いもの。

 最初、受宿(働き口の世話をする所)のおば様のお話によると

「そのお宅のお子様方は、男女六人。けれども、常にお家にいらっしゃるのは、御惣領と末のお二人だけ。

 御新造(奥様)は機嫌が変わりやすいお人だけれど、目色顔色を呑み込んでしまえば大した事もないよ。結局、おだてに乗るたちだから、お前の出方次第で、着物、半えり半がけ、前垂(前かけ)の紐にも不自由はしないだろう。

 財産は町内で一番で、そのかわりに、ケチな事でも二番目には下がらないね。けれども、有難い事に、大旦那様が甘い方だからね、少しの貯金くらい、出来ない事はないだろう。

 嫌になったら、私の所まで葉書一枚送れば良い。細かい事は書かなくてもいいよ。他の働き口を探せと言う事になったら、足は惜しまないよ。どの道、奉公の秘訣は、裏表を使い分ける事だよ!」

と、言う事だった。

(なんとまあ、恐ろしい事を言う人だ)と思ったけれども、

(何も自分の本心では、またこの人のお世話には絶対になりたくはないわ!勤めを大事にして、一生懸命頑張れば、きっと、奉公先のお気に入らない事も無いはず…)

と決心した結果…その様な鬼の主人を持つ事になったのだった。

 

           ※

 

 

 奉公先の山村家にご挨拶が済み、お峯が働き始めた三日後の事。

 

「今日は七歳になる娘の、踊りの発表会が午後からあるからね!その支度のために、娘を朝風呂に入れて、磨き上げてちょうだい!」

 

と、霜が凍る寒い明け方に、暖かい寝床の中から、奥様が灰吹きを叩いてこう言ったのだ。

 

「ほら、ほら!」

 

と、お峯には、その言葉が目覚まし時計の音よりも胸に響いたので、三回目とは呼ばれない間に、着物の帯を締めるよりも先に、袖のタスキ上げをするほど、急いで支度をした。

 井戸端に出てみると、まだ月影が流しの水に写って(夜が明けきっていない)おり、お峯は肌を刺すような風の寒さのために、さっきまで見ていた夢をも忘れてしまった。

 

 (風呂はかま風呂なので、大きくは無いけれど…)

 

 二つの手桶に、溢れるほど汲んで、十三回は水を入れなければならない。大汗をかきながら運んでいるうちに、竹製の粗末で硬い鼻緒で、歯が歪んでいる水場用下駄の鼻緒がゆるゆるで、指を浮かさなければ脱げてしまいそう。その下駄を履いて重い物を持っていたので、足元がおぼつかなく、流し場の氷に滑り、

(あれ!)

と言うまもなく横に転び、井戸の側で向こう脛をしたたかに打った。そしてお峯の、雪も恥じらう美しい白い肌が、生々しい紫色になってしまった。

 手桶もそこに投げ出されてしまい、一つは無事だったが、もう一つは底が抜けてしまった。この桶の値段がどれくらいなのか知らないけれども、家の全財産が、これのために潰れるかの様に、奥様の額際に立った青筋が恐ろしい。その後、朝ご飯のお給仕の時から睨まれて、その日は一日口を聞いてもらえなかった。

 それからは、お峯の、いちいちの動作に

 

「この家にある物は無代(ただ)では出来ていませんから、主人の物だと思って粗末に思ったら、バチが当たりますよ!」

 

と、延々とお説教が続くのだった。来客の人がある度に、そうした事を告げ口される事も、お峯の若い心には恥ずかしかったので、その後には、物事には念を入れて気をつける様になり、とうとう失敗をしない様になったのだった。

 

「世間には女中を使う人は多いけれども、山村家ほど、女中が替わる家は無いだろう。月に二人替わる事は当たり前。三、四日で帰る者もあれば、一晩居て逃げ出す者もある。山村家開闢以来を調べたら、折る指が足りな位だろうと、あのおかみさんの袖口を想像してしまうよ。

 思えばお峯は辛抱者だね。あの娘に酷く当たったら立ちどころに天罰が当たるだろう。その後は、東京広しといえども、山村の女中になるものはないだろうよ。感心なものだ。見事な心がけだ」

 

と、褒める人もあれば、

 

「第一、器量が申し分無しだ!」

 

と、男たちは直ぐに、これを口にするのだった。

 

 

参考文献はこちらです。

 

 

今回は、ここまでに致します。

 

なんだか、シ○デ○ラのような展開になってきましたが💦

 

 

お付き合い、ありがとうございました。