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楽しみを希うオバちゃん

家族泣かせ・多趣味人間のブログです。主に書評・映画・音楽等の芸術についての、感想等を書かせて頂きます。時々、フィギュアスケート等のイラストもアップします。

湯川秀樹先生 「旅人」

今年になって、読破した本について、書きたいと思います。

湯川秀樹先生の「旅人」です。

この本の読破については、私ならではの経緯があります。

実を言うと、私がこの本を購入したのは、高校生の時(うん十年前)で、学校の課題図書の中から選びました。当時は、冒険ファンタジー本や、映画にばかりうつつを抜かしていた私は、かしこまった本が苦手で、「旅人」は、その本の「薄さ」で選び、購入しました。が、大誤算でした。

当時の私には、難しい文体でした。ましてや、内容は、自分が超苦手な「物理学」の、ノーベル賞をお取りになった学者様の「自伝」だったという…

本を購入してから、授業で感想を聞かれる授業までは、2・3日あったと思うのですが、当時の私は、10ページくらいで挫折してしまい、チンプンカンプンなまま授業に臨み、先生や他の生徒の質問に何一つ満足に答える事ができず、恥をかきました。

 

それからは、「理系学者様の本は、自分には敷居が高すぎる」と、トラウマになり、読む事はありませんでした。が、なぜか私は、この本をその後何十年も処分する事なく、ずっと本棚に置いてありました。数回経験した引っ越しの際も、紛失させる事もなく、今日まで、私の本棚にその本はあります。薄い文庫本だからという理由もあったかもしれませんが、やはり無意識に(この本を粗末に扱ってはいけない)という気持ちが働いたのかもしれません。

 

そんな訳で、昨年、お世話になっている知人に、この本を読む事を勧められた時、

「ついにその時(読む時)が来たのだな」と、感じました。そして「満を持して」拝読しました。

 

やはり、「今の自分」だからこそ、解る・共感できる・その文章の尊さに「感動」できたのではないかと、思いました。

私が一番印象深かったのは、湯川先生の文章の「真摯さ」「客観性」の凄さです。世の中には、たくさんの偉人がのこされた自伝があると思うのですが、この本の様に「謙虚に」「冷静に」「真面目に」「客観的に」「飾らずに」書かれた自伝というのは、少ないのではないかと、感じました。

そして、そのページ数に見合わない内容の濃さは、私にとっては、オー・ヘンリー氏の短編集以来の衝撃でした。