芸術は心のごはん🍚

映画・小説・漫画・アニメ・音楽の感想、紹介文などを書いています。

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その七 〜 蝶よ花よと育てられ 〜

今回も「たけくらべ 」紹介の続きです。

 

14 酉の市の日

 

この年は、酉の市(例年11月の酉の日に行われる祭)が、

三の酉(三の酉まである年は、何か特別な意味があるようなのですが、うまく説明できませんm(_ _)m)まであり、神社は大にぎわい。

吉原も、大祭(?)にかこつけて遊びにきた(?)若人たちで大にぎわ…い…(?)

吉原の住人たちも、ここは稼ぎ時(?)と、活気付いてる様子。

 

正太郎は、この日家業(?)手伝いの休みをもらい、祭り見物を楽しんでいました。

学校仲間の団子屋の息子が営む汁粉屋をのぞいたら、忙しくて材料の飴が品切れになりそうで困り果てていたため、その場をしのぐ(?)知恵を教えてやると、

おまえは、頭がいいねえ、商人(あきんど)向きだねえ・・的な事を言われ、複雑な心境になった(?)ようです。

そんなの大した知恵じゃないよ…それよりも、美登利さんがどこにいるか知らないか?

団子屋の息子に尋ねると、

(団子屋)

美登利さんなら、さっき俺の家の前を通った時、髪を島田に結って、とても綺麗だった・・

(正太郎)お姉さんよりも綺麗だよ、でも花魁になるのでは可哀想だな・・

(団子屋)いいじゃないか、そうなれば、俺は来年から仕事でお金を貯めてあの子を買いに行く・・

(正太郎)洒落くさい事を言ってゐらあそうすればお前はきつと振られるよ。(原文)

(団子屋)何故何故。(原文)

(正太郎)何故でも振られる理由(わけ)があるのだもの、(原文より)

・・・笑いながら、別れの挨拶をし・・

十六七の頃までは蝶よ花よと育てられ、と怪しきふるへ声にこの頃此処の流行(はやり)ぶしを言って、今では勤めが身にしみてと口の内にくりかへし、(原文より)

祭りの人混みの中に(小さな)身体は忽ち隠れたのでした。

 

すると廓の角で、向こうから番頭新造(上位の遊女の諸事世話をする女性?)と一緒にくるのは、美登利でした。本当に初々しい大島田に結った髪に鼈甲をさし、花簪をひらめかせ、色鮮やかな装いで、京人形の様

正太郎は、あっと思い、いつもの様には抱きつきもしないで見ていると、

気が付いた美登利が走り寄り、連れの女性に、もう此処でいいですから・・というと、

あれ美いちゃんの現金な(現代語訳より)・・

等々言いながら女性がどこかへ行ったので、正太郎は美登利の袖を引いて

よく似合うね、いつ結ったの・・等々、いつもの調子で甘えてみると

美登利うちしほれて口重く、姉さんの部屋で今朝結って貰ったの、私は厭でしょうが無い、とさし俯向(うつむ)きて往来(ゆきき)を(原文より)

恥じるのでした。

 

色々 迷ったのですが、今回のBGMはこちらにします。

この日の美登利が 京人形 の様 だと、表現されていましたので。

映画「SAYURI」の曲です。

作曲者のジョン・ウィリアムズさんとヨーヨー・マさんの演奏です。


Memoirs of a Geisha | John Williams and Yo-Yo Ma | Live

 

私は、映画「SAYURI」を見ていません。ストーリーもよく知りません。

少し調べたところ、

 

SAYURI」は 1929年(大恐慌時代、大正時代)頃、京都、祇園の芸者さんのお話の様です。

たけくらべ 」の美登利は、吉原の、将来花魁(一般に上位の遊女の称)になる事を要求されている少女です。

 

芸者と花魁は違うと思います。

それでも、着物の日本女性の美しさを表現してくださっている曲だと思いました。 

 

サントラはこちらです。 

 

ありがとうございます。

「たけくらべ」の見せ場を、替え歌に

今日は、もう一記事。

前回記事のBGM曲として、こちらも浮かびました。

明るい曲調ですが、場面とオーバーラップする点もあるように感じ、

久しぶりに「替え歌」にしてみました。

 

杉真理さんの「バカンスはいつも雨」の替え歌で 


杉真理 バカンスはいつも雨

 

「紅葉色ぬらす雨」 m(_ _)m

 

(信如)

出逢う日は いつも 雨ふーりー

思うようには なーら なーい

通り過ぎる時 強い風

格子もーんー のー まーえー

 

鼻緒が! 抜けたよ! いちーだいじーだーよー 💦

こよりー よれないのさー

 

(美登利)

羽織袖 ぬらす 雨しずく

震える胸で ゆーう・ぜーん

声もかけられぬ 意地っ張り(vein)

よれる はーずーもー なーい

直して あげたい! 揺れーる心

せめて 手渡したい・・

 

(美)できない! なぜ だか

(信)見れない! こわ くて

 

(信如)

悔やーんでるよりもー

今 目に 焼き付ける

をう をう 綺麗だ

 

秋雨 恋など

秋空 いつでも

外れてばかりの天気予報さ!

紅いもみじ🍁

 

心惹かれたよ ゆうぜーんー

まるでついていなーい ふーうん(bad luck)

振り向けば そこに 悪友(長吉)が…💧

またおまえ なのーかい(…嬉しいけど…ちりめんの方が…) 

 

許して 欲しいよ(ちりめんも💦)

笑顔 みたーいーよ

 

☔️    そっと 君のために 作った 水仙  🌈

 

 

一葉さん、

杉さん、

大好きなのに

いじって ふざけて しまって、 申し訳ありません。

脳内デュエット?と言う感じで

お楽しみいただけたら嬉しいです。

 

原曲の歌詞は、こちらです。m(_ _)m

http://j-lyric.net/artist/a0029d1/l006230.html

 

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と言うわけで、最近特に、BGM探すのが楽しみになってしまっている私です。

ラジオとかのDJさんの気持ちって、こんなのかなと。

 

ありがとうございます。

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その六 〜 雨にぬれた紅葉の友仙 〜

今回も「たけくらべ

クライマックス 後半 要約(?)です。

 

13 時雨の朝 格子門 ごし (後編)

 

(足止めを食っているこの場所が)大黒屋の前だと慌てた信如。しかし

生憎(あやにく)の雨、あやにくの風、(原文より)

鼻緒が切れ、詮無く紙縒をよっているのは、辛く耐えられない心地だったところへ、

飛石の足音は背より冷水(ひやみづ)をかけられるが如く、顧みねどもその人と思ふに、(原文より)

わなわなと震え、動揺の表情を隠す様に(?)背を向け、なおも鼻緒を直す事に専念するふりをしても、(本当は上の空で)埒があかない様子。

 

(門内側から、それをのぞいていた)美登利は、

ゑゑ不器用なあんな手つきして(原文より)

(紙縒は)逆よりだし

・・省略・・

それそれ羽織の裾が地について泥に成るは御存じないか、あれ傘が転がる、あれを畳んで立てかけて置けば好いにと一々鈍かしう歯がゆくは思へども、(原文より)

(美登利は)さあ、この裂れを使って・・と声をかける事もできず、雨に濡れながらも、立ち尽くしているだけ。

そうとも知らない母親が、遥か屋内から呼ぶ声がする。

美登利さんは何を遊んでいる

・・省略・・

また風邪を引きますぞ

と呼ばれたので、

はい今行きますと大きな声で言い、それが信如に聞こえたのは恥ずかしいのに、胸はわくわくし、(あける勇気はない)門のそばで、戸惑いながらも何かしてあげたくて、

格子の間より手に持つ裂れを物いはず投げい出せば、見ぬやうに見て知らず顔を信如のつくるに(原文より)

(ショックを受けた美登利は)

本当に意地悪なんだから💢 (ゲーノ 勝手な 訳 m(_ _)m)

少し涙目、恨み顔になり、動揺と怒りを募らせるも

また母親の声がしばしばかかったので、

動揺と怒り、恥ずかしさと未練を残しながらも、身を翻し、

かたかたと飛石を伝ひゆくに、(原文より)

信如は今やっと淋しく振り返ると(現代語訳)

紅入り友仙の雨にぬれて紅葉の形のうるはしきが(原文より)

自分の足の近くに散らばっていた。

綺麗だなと思ったのだが、手に取る勇気もなく空しく眺めるだけ(ゲーノ 訳m(_ _)m)

 

我が不器用をあきらめて(原文より)

(役に立ちそうにない)その場しのぎの事をして、仕方なく立ち上がった信如は、二歩ばかり進みかけ

友仙の紅葉目に残りて、捨てて過ぐるにしのびがたく心残りて見返れば、(原文より)

信さん、その(みっともない)なりはどうしたんだ、と不意に声をかけられた。

驚き、(反対側に)振り返ると、声の主は長吉だった。

(長吉は)今廓内(なか)からの帰りらしく・・省略・・(服装がどこか?)誇らしげである。

 

もしかして・・長吉・・女性経験ありって事・・?(ゲーノ 勝手な 解釈m(_ _)m)

 

僕は鼻緒を切ってしまつてどう為ようかと思つてゐる、本当に弱つているのだ、(原文より)

と信如が言うと、

そうだろう(頭脳派の?)お前にそれはできないだろう・・と、言葉は荒いが、根は親切な長吉が、自分の下駄を履いて行きなよ・・と、言ってくれる。

それでもおまえが困るだらう。(原文より)

悪いよ悪いよ(信如)俺はいいからいいから(長吉)・・と言う、二人の男の友情的やりとり。

人には疫病神のやうに厭はれながらも毛虫眉毛を動かして優しき詞をもれ出るぞおかしき。(原文より)

その下駄は俺が(信如の家の)台所に放り込んでおくよ・・等々、世話を焼き、

後刻(のち)に学校で逢はうぜの約束、(原文より)

信如は田町へ、長吉は家の方へと

行別れるに思ひの止まる紅入(べにいり)の友仙は可憐(いぢら)しき姿を空しく格子門の外に止めぬ。(原文より)

十三章終了。

 

信如は、紅葉の友仙を、さぞかし持って帰りたかったんだろうなと。

でも、長吉の前では、それができなかったのでしょうか。

美登利の方は、運動会の時、ハンカチを拒否られたことが思い出されたのでしょうか。

  

今日のBGMは、悩みましたが、こちら、米津玄師さんの「Lemon」です。

www.youtube.com

 

信如と米津さんて、なんとなく、よくは知らないのですが、個人的にイメージが重なるところがある様に感じます。

 

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という訳で、

信如が美登利と、(まともには)会い損ねる日って・・

結構雨なんだね

と、改めて思いました。

 

参考文献はこちら

 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

ありがとうございます。

 

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その五 〜 時雨の朝 格子門ごし 〜

こんにちは。

今回は「たけくらべ」要約(?)の続きです。

今回は

物語の クライマックス です。

 

12 時雨の朝 格子門 ごし (前編)

 

信如が田町へ行く時、近道を口実に、いつも通る道にちょっとした格子門があるが、

そこは(美登利の住む)大黒屋の寮の門前である。(この建物と門、通り過ぎる若者、中の少女を、「源氏物語」の一説に例えて・・?いる様なのですが、私は「源氏物語」を漫画で昔読んだだけなのですm(_ _)m)

時雨れていたが、学校前に、母親から(田町の)姉への使いを頼まれた信如は、はいはいと(大人しく)小包を抱え、鼠小倉の緒をすげた朴木歯(ほおのきば)の下駄を(現代語訳)はき、雨傘をさして出かけたのでした。

信如がいつも行くことにしている細道を歩いていると、

運わるう大黒やの前まで来し時、さっと吹く風大黒傘の上を(原文より)

つかんで、宙へ飛ばされるかと疑うほど吹き付けられたのです。

思わず足に力を込めて踏みこらえると、下駄の鼻緒が抜け、

傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。(原文より)

困って舌打ちするも、仕方がなく、大黒屋の門に傘を寄せ掛け、

雨の中で自力でこれを直そうと悪戦苦闘するも全くうまくいかない信如。

早くなんとかしなければと、気ばかりが焦る。半紙を取り出し、裂いてこよりにするも、意地悪な嵐が今度は立てかけていた傘を転したため、小包も着物の袂まで泥だらけです。

 

 その様に困り果てた人が、格子門前にいる事に、障子の中ながら硝子ごしに遠く眺めて(原文より)、気づいた美登利。

あれ誰か鼻緒を切った人がある、母(かか)さん切れを遣つても宣う御座んすかと尋ねて、針箱の引き出しから友仙ちりめんの切れ端をつかみ出し、庭下駄はくも鈍かしきやうに、(原文より)

外に飛び出し、洋傘(かうもり)もささずに庭石づたいに駆けつけるも、

信如だとわかった途端、美登利の顔は赤く成り、一大事にでもあった様に(?)胸の動悸、動揺を誰かに見られはしまいかと、恐る恐る門の傍へ寄れば、(原文より)

信如もふつと振り返りて、これも無言に脇を流るる冷汗、跣足(はだし)に成りて逃げ出したき思ひなり。(原文より)

 

いつもの美登利なら

困り果てている信如に向かって、からかい、悪(にく)まれ口の言いたい放題。祭りの夜についての文句、謝罪を要求し、

私には父さんもあり母さんもあり、大黒屋の旦那も姉さんもある、お前のやうな腥(なまぐさ)のお世話には能うならぬほどに(原文より)

言いたいことがあるなら(陰でこそこそ言わずに)直接私に言いなさいよ!さあどうなのよ!・・などと捲したてるところでしょう。

それでこそ信如も太刀打ちしづらいだろうに、ものも言わず格子の陰に隠れて、かといって立ち去るでもなくただうじうじと胸をとどろかせているこの様子はいつもの美登利の様ではなかった。(原文より)

 ここで12章終了です。

 

正直言いまして、このあたりは、要約は必要なかった様な気がします。

原文でも分かりやすいところで、省ける箇所がほとんどない様に感じました。

一文一文が、重要で、繊細で、美しい文章だと思いました。

 

あえて、私が個人的に書かせて頂きたい事は、

 

この場面も前回の筆屋の場面と同じ

雨の中

なのです。はい、今回もがとても重要だと思います。

ですが、前回は夜、

今回は朝

という違いがあります。

 

そして、この章は、

情景の描写と、二人の心の動き、動揺、行動、仕草、

美登利が本来なら言いそうなセリフ

しか描かれておらず、

美登利が格子門のところへ来てからは、二人の間に

生の言葉のやり取りがない

という事です。

 

あともう一つ、個人的に気になったのは「友仙ちりめん」と打ち込むとき

「友禅」と出て、

友仙 という漢字では、出てこなかったので、

私は仙という字を水仙と打ち直して、文章を入力しました。

そうした言葉の使い方も、最終章への伏線になっているのではないかと感じました。

 

改めて、こちらの美内すずえ先生の「ガラスの仮面」劇中劇の「たけくらべ」の描写が優れているかを実感しました。 

ガラスの仮面 (第2巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第2巻) (白泉社文庫)

 

 

今回のBGMは、もうこちらしかない!!!と思いました。


雨の街を (Yuming Original)

 


雨の街を / 荒井由実

 

ユーミン様、超 詩人!! 超 音楽家!!  超 ディーバ!!

 

前回記事に載せました、こちらの曲の歌詞も、とてつもなく深かったので、ぺたり。

www.uta-net.com

 

原曲の英語歌詞は、シンプルで分かりやすいところが好きです✨

ユーミン様の日本語歌詞は・・ものすごく深いです。文学です。芸術です✨ 

 

そして、樋口一葉文学

ものすごく 深い です。 芸術 です。

 

私は、 

樋口一葉さんの文学は 樋口一葉」という一つのジャンル

松任谷由実さんの歌も 松任谷由実」という一つのジャンル

の様に感じています。

 

参考文献はこちら

 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

今回は、ここまでにいたしとうございます。

川口悠子さん愛  〜 いつでも何度でも 〜

今日も記事を更新します。

 

昨日は、何を書くべきか悩みました。

今朝になって、やはり、出来るだけ多くの皆様に、こちらの

フィギュアスケート・ペア A・スミルノフ&川口悠子さんが

2011年、震災後に、見せてくれましたこちらの応援プログラムを見て頂きたいと思いました。

もしかすると、ご存知なかった方もいらっしゃるのではないかなと。

お二人の強さ、優しさ、美しさに、私も元気を頂きました。

www.nicovideo.jp

 

YouTubeでは見つけられませんでしたので、この様な形にしました。

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その四  〜 一葉さんと紘子さんとユーミンと 〜

※  3月11日夜に、副タイトルを変更、記事を少し追記しました。

 

今回は「たけくらべ」の要約記事の続きです。

 

10 明治・吉原住人の格差、生活の情景(祭りの前後から秋)

 

信如は祭り夜は、姉の元への使いで、翌日まで留守にしていたので、筆やでの騒ぎは知らなかった。翌日に友人から聞き知り、長吉の乱暴に驚き、特に自分の名が使われた事を迷惑に思い、後悔する。

祭りの失態を自ら悔いていた長吉も、ややほとぼりの冷めた頃(現代語訳)にやってきて信如に詫びた。

時の拍子だから(現代語訳)・・

正太郎が留守だったんで・・

女郎(美登利のこと)と三五郎を相手にしたかった訳では・・

俺がどこまでも悪いさ(現代語訳)

お前の助言を聞かず悪かった・・

これからは気をつけるから、今回は許してくれ、俺を見捨てないでくれ・・

今度は、正太郎本人を相手にするから(?)等々・・

そうした長吉を、信如は叱りはしなかったが、もう喧嘩が無いようにと思うのでした。

 

 祭りの夜に乱暴を受け、怪我をした三五郎。彼の家は貧しく、父親は、立場上も性格的にも(?)目上の人たちに強い態度ができない人で、息子を傷つけた長吉親子(大家とその息子)にも頭が上がらない。そんな父に事件の事を話しても、逆に叱られ、謝りに行けと言われかねないと思い、悔しく思うも、黙っていたのでした。

しかし、日が経ち、傷も癒えてくるうちにそうした事も次第に忘れ、頭(?)の家の乳児の子守で小遣いがもらえれば、素直に嬉しい。生意気盛りの十六歳だが、あまり自尊心はなく、表町に行けば、いつも正太郎と美登利のなぶり者、からかいの的になりながらも、遊び仲間からは外れなかったのでした。

 

秋風が涼しくなってきた頃。(原文は、季節の移り変わりの描写が美しいです)

この頃は、吉原を訪れる人々の様子も、少し変わってくる(?ようです?)

・・盲目の按摩の二十歳ばかりの娘が、叶わぬ恋と身の不自由を恨んで・・

ヤンチャな吉五郎と太吉の姿がみられないのはなぜ?・・(鼻を指して)この件(花札のことのようです)であげられました・・

・・幼い子供達が大通りで ひーらいたー ひーらいたー なーんのはーなが・・と、無邪気に遊んでいる・・

などと言った、噂、ゴシップ、日常風景が語られます。

そんな折、

 

秋雨しとしと寂しい夜。戸を閉めていた筆屋の中では、いつもの様に(?)、美登利と正太郎、その他に小さい子供が2、3いて、きしゃごおはじきという幼げな遊びをしていた時。

美登利が、誰かお客がきた気配がすると言い、それを聞いた正太郎はちゅうちゅうたこかい(すごろくやおはじきなどで遊んでいる子供達が、数を数えるときに用いる言葉)の手を止めて、仲間が来たのかと喜んだが、(入ろうとしたはずの客の)気配はふっと途絶えて、音も沙汰もない。(現代語訳より)

 

11 信如と美登利と正太郎の(二等辺三角形的?)関係

 

正太郎が戸を開けてばあと言いながら顔を出すと、客らしかった人は、2、3軒先の軒先をたどり、ぽつぽつと歩いて行くところだった。

誰だ、誰だ、お入りよ(正太郎)

美登利も履物をつっかけて(様子を見に?)駆け出そうとしたところ

あああいつだとひとこと(正太郎振り返って)

美登利さん呼んだって来はしないよ、例の奴だもの

(といって、自分の頭を丸めて見せた)

信さんかえ、と受けて、(美登利)

厭な坊主ったらない、  (うそ)

・・省略・・

意地悪の、根性曲がりの (うそ)

・・省略・・

厭な奴め・・      (うそ)

(会えば罵ってやったのに?)

帰ったのでは惜しいことをした、どれ下駄をお貸し、ちょっと見てやる 

(うそは口実だった?)

と言い、正太郎に代わって外に顔を出した美登利。

雨だれが前髪に落ちるのに首を縮めながらも、

四五軒先のガス燈の下を大黒傘肩にして少しうつむいてゐるらしくとぼとぼと歩む信如の後ろかげ、

何時までも、何時までも、何時までも

見送るに(原文より)

 

正太郎にどうしかしたのかと声を掛けられ、慌てる美登利。

 

慌てて取り繕い、また、信如の悪口を並べ立て、正太郎に同意を求め(?)ます。

(ホッとした?)正太郎は、龍華寺(信如)はまだ長吉よりはものがわかっているよと、大人ぶってみせる(十三歳男子)。

そんな正太郎を美登利がからかい、笑ったところ正太郎は

俺だってもう少しすれば大人らしい格好をして大人になるんだぞお・・的な?

そんな彼に

それは何時だろうね・・的な?

ことを言ってはしゃいでからかう美登利。

そんな二人の(夫婦ならぬ幼馴染漫才・・的な?)ふざけたやり取りに、筆屋の中が盛り上がります。

二人の複雑な心とは裏腹に・・

 

筆屋の女房に、

この辺りでは、お六さんや喜いさん(が美人さんだけど)それよりももっと美人さんはお前さんの隣にいるでしょう

などとからかわれ、正太郎は顔を赤くしてやり返す。

二人の仲の良さをからかわれるも、美登利はきゃしゃごを集めて、

さあもう一度初めからと言いつつ、

こちらは顔を赤らめはしなかった。(現代語訳より)

 

今回の心のBGMはこちらでした。

やはり、こちらもアップします。

 

中村紘子さん演奏のショパン「雨だれ」プレリュード


中村紘子 ショパン作曲 プレリュード第15番変ニ長調「雨だれ」

 

中村紘子さんは、日本が生んだ、素晴らしい女性ピアニストだと思います。 

中村紘子 フォーエバー

中村紘子 フォーエバー

 
ピアニストだって冒険する

ピアニストだって冒険する

 

 

 小林麻美さんは、容姿も声も美しくて セクスイーだと改めて思いました。


雨音はショパンの調べ 小林麻美 with C-POINT

 

とてつもなく深い日本語歌詞はこちら 

www.uta-net.com

 

私は、このお話「たけくらべ」を知る様になってから

 

古今東西の文学とか、演劇とか、映画が・・いくつか・・頭を、よぎったのですが。

まさか

ショパン

に思いを馳せる時がくるとは、今まで思いませんでした。

でも、昭和40年代生まれの私は、クラシックだけではなく、

小林麻美さんの「雨音はショパンの調べ」も連想しました。

ちなみに、この歌の日本語歌詞の作詞者は

俺たち、私たちの 松任谷由実

です。

私がこの日本語歌詞で、一番 しびれたのは

 

暗号の ピアノ

 

というところです。

 

原曲の歌詞はこちらです。

musiclyrics.blog.jp

 

参考文献はこちら

 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

 今回は、ここまでにしておきます。

町田樹さん愛 〜 29歳のお誕生日おめでとうございます✨ 〜 

こんにちは!

今日、3月9日は、敬愛する

町田樹さんの

29歳のお誕生日です

 

お写真は、悩んだのですが、あえて ソチ・シーズンの 「火の鳥」よりスクショ。

私は、このプログラムの演技で、

ようやく町田くんの凄さ素晴らしさに気づいたなと思うので。

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今日のお誕生日を、ツイッターを見てようやく、思い出した私ですが💦

イラストを描きたかったんですが、間に合いそうにありません。

お誕生日には間に合いませんでしたが、ゆっくり時間をかけて、取り組みたいです。

 

「私は、世界一幸せなスケーターです」 

  2018.10.06   町田樹

 (KISS &CRY SPECIAL BOOK 町田樹の地平 P43)より

 

そうおっしゃったという、町田樹さんを、心の底から敬愛します。

 

本当に私は、町田くんからも本当にたくさんの

生きるために大事な事を

教えて頂きました。

これからも、町田くんから

たくさんの事を

教わるだろうと

願っています。

 

 もう一度見たくなった、ソチ・シーズンの火の鳥の演技を

 


【フィギュアスケート】町田樹 2014 WC FS「火の鳥」【町田樹】

 

お誕生日おめでとうございます✨

 

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その三  〜 無邪気な少女・思慮深い少年  〜

 こんにちは。

引き続き、「たけくらべ」内容の要約です。

 

8 吉原の情景・その場所における美登利の立場

 

明け方の吉原の情景。

夕方(?)に吉原を訪れて、明け方に帰っていく男性たちの様子。

(描写が…なんと言いますか、

一葉さんという女性視点からの皮肉とウィットのパンチが効いてます💧)

 

そして

娘はいずこでも貴重がられる頃だけれども、このあたりの裏屋からかぐや姫が生まれることの例は多いもの(現代語訳より)

(等、意味深な表現や、ある種の例え話(?)などが書かれていて、少し驚きました)

 

うまく要約・説明できないのですが、

吉原の女性が人気者(?)になる過程の例え話や、

花魁人気(?)の浮き沈み(?)世代交代(?)

吉原の若い衆(青年)たちの不良っぽい様子(?)

などが描かれています。

 

そんな吉原という環境で、

美登利の目には男というものがいっこうに怖くもなく恐ろしくもなく女郎というものをさほど賤しいつとめとも感じないので(現代語訳より)

 

姉が人気花魁として親孝行できているのを羨ましい と思ったり、吉原での人々(大人たち?)の言動にも、深く疑問も持たずにいるのも 哀れである

 

・・・樋口一葉さん・・全くですね!(私の心の声)

 

数え十四歳の美登利はまだ、勉強らしいものは学校で学んだばかり。

それ以外では、吉原特有の(うわべの?)派手さ、美しさ(?)ばかりに(純粋に)憧れる。

お転婆で負けず嫌いな美登利は、通りを行き来する人々に好奇心旺盛。

(ある時)器量の良い女太夫(芸人?)が通り過ぎていく(?)のを残念がっている筆屋の女房に(ちょうど筆屋の店先に居た)風呂帰りの美登利が、

はらりと落ちる前髪の毛を黄楊(つげ)の鬢櫛(びんぐし)にちゃっと掻き上げて

(現代語訳より)

おばさん私が呼んできましょうと言い

駆け寄り、女太夫の袂に何かを入れ、歌(?)をさらりと歌わせたのでした。

そこに居合わせた大人たちは、

あれが子供のしわざか(現代語訳)

と舌を巻き、美登利を眺めるのでした。

 

そんな事があった後、美登利が、正太郎に

通る限りの芸人を集めて、色々の芸をさせてみせるなど、人のしない事をしてみたい

(現代語訳より)と、話したところ、正太郎は驚いて呆れて

おいらは厭だな。(現代語訳より)

(このセリフで8章 終了)

 

9 信如の生い立ち

 

信如の実父である、龍華寺大和尚は、財産も風貌も肥え太った人。

肌は銅色に照り、欲深げ(?)で生臭坊主のようです。

その御新造(奥様)は、歳は40くらい、色白で愛想よく品もあり、控えめな人柄。

元は檀家の一人だったのが、早くに未亡人となり、龍華寺のお世話になっていたところ、年が二十ほど離れているのが恥ずかしいものの、他にあてもなく、大和尚と一緒になった(らしいです)。

子供は男(信如)女(姉)二人。

信如は内向的な少年だが、のお花は、容貌も人柄も愛嬌ある人で、田町の通りに小ぎれいな葉茶屋を持たせてもらい、繁盛させている。

父の大和尚は、本職以外にも商人的なこともしているようです。そんな父の好物の蒲焼きを買いに行かされるのは息子の信如。そうした使いを信如は恥じ、厭でたまらない。友人知人がその場にいないのを見計らい、急いで店に駆け込む。そんなわけで信如は、自分は生臭いものを食べまいと思うのでした。

 

大和尚はどこまでもさばけた人。

門前で手作りの熊手や簪の店を開いたりもします。

初めは恥じていた御新造も、慣れと共に、そうした商いに意欲的にもなっていました。

しかし息子の信如は、両親のこうした振る舞いを心苦しく、恥じていました。

息子の進言も笑い飛ばして済ませる父。平然と朝は念仏、夕べは勘定という毎日です。

実の家族と暮らしていながら、なぜか内向的・陰気者(?)の信如。

両親の行いも姉のしつけも、間違っているように感じるけれど、そんな事を言っても、聞いてもらえるわけではない。

そんな悲しさ、諦めから、気持ちも沈みがちな信如。

そうした自分を友達仲間は偏屈・意地悪とみなすし、自分は、誰かに陰口を言われても反発する勇気もない。そんな心の弱さが自分でも情けなく、 部屋にこもりがちだが、学校での勤勉さや身分柄の良さで、信如の本心、劣等感を知るものはなく、

龍華寺の信如は生煮えの餅のように芯があって気になる奴と憎らしがる者もあるようであった。(現代語訳より)

 

今日はここまでにしておきます。

参考文献は、こちらです。

 

にごりえ・たけくらべ

にごりえ・たけくらべ

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

 

私の中では、やはり「たけくらべ」の信如(のイメージ)というと

ガラスの仮面

桜小路くん

なのですよ。

というわけで、今日のBGMはこちらです。


Glass Mask Opening 2 「ガラスの仮面 (2005)」- "zero" by Ikuta Aiko

 

桜小路くんも、ほんの少し登場してます。

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(ちょっとだけ、昭和の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の石原裕次郎さんぽい)

速水真澄氏も素敵です。↓

 

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やはりというか、時代の変化なのか、桜小路くんと亜弓さんのキャラが、平成・なうな感じに変化しています。

 

余談ですが、

「さくらこうじ(6文字)くん」って・・どう考えても

呼ぶの大変じゃないかと。

マヤちゃんも舞ちゃんも、大変だよなあ、声優さんも大変だよなあ

滑舌の悪い私は、絶対に

噛んじゃうよ!

 

と思った、金曜日の夕方でありました。

 

ありがとうございます。 

 

 

 

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その二 〜 彼もとても繊細 〜

こんにちは。

続いて「たけくらべ」の私なりの要約です。

 

7 育英舎での、信如と美登利の情景

 

二人とも育英舎という学校に通っています。

その年の4月末(話が夏から、その年の若葉の頃に戻る)大運動会がありました。

つな引き・鞠なげ・縄とびなどの種目に、日の暮れるのも忘れて夢中になっていた時、信如は池のほとりの松の根につまずき、地面に手をついて、羽織の袂も泥まみれになってしまいます。

居合わせた美登利が、見かねてハンケチを差し出すも、学友たちが二人を冷やかします。

元来、そうした冷やかしを、するのも受けるのもとことん嫌な信如。以来、利発だが繊細で不器用(?)な信如は、内心は惹かれつつも、美登利を避けるようになります。

無邪気な美登利は、初めは藤本さん藤本さんと親しく話しかけたり、学校からの帰り道、後から来る信如を待っていて、美しい花が咲いているのに私では手が届かないから、かわりに枝を折ってくださいな、年上だし(乙女な口実?)・・などとお願いをしました。

(優しいけど内気で不器用な)信如は、今度ばかりは無視できなかったものの、よく見もせずに手近の枝を折り、投げつけるようにして、すたすたと行ってしまいます。

流石の美登利も、信如の、自分に対してだけの、つっけんどんな行動に気づき、傷つき、怒り、悲しみます。その様にして、美登利の方からも、信如に近づかなくなり、二人の間には、大きな川が流れているような状況になったのでした。

 

その後の、夏祭りの夜に、長吉たちから屈辱を受けた美登利。

「横町組」と「表町組」のいがみ合いへの疑問、女である自分の無力さ、長吉の卑怯さ、彼の後押しをした信如への怒りを募らせる美登利。

自分には人気花魁の姉があり、その馴染みの上客(?)の皆々様もいて、両親もある、大黒屋(美登利たちが住む寮)の旦那様からも、自分は叱られたことはない、

長吉ぶぜいに引けを取る身ではない

龍華寺の坊様にいじめられるのは心外

と思い、以来学校へ通う事をやめ、勉強への興味も失せ、仲の良い友達とだけ遊ぶようになったのでした。

 

という訳で・・・

もうですね、

いじらしいやら

可愛いやら

切ないやらで・・今回は、この章だけで燃え尽きました。

 

今日の要約中の、心のBGMは、佐野元春さんの、こちらの曲でした。


佐野元春: 彼女はデリケート (1993.10.17 渋谷Street Live)

 

しー(美登利) そー(とても) デリケート!! も、そうなのですが、

個人的には

ひー(信如の方が) そー(よっぽど) デリケート!!!

 

 と思った、木曜日の夜更けでした💦

 

やはり、参考にした文献は、こちらの2冊です。 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

ありがとうございます。

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その一 〜 明治・少年少女の肖像 〜

 こんにちは。

今日は長文失礼します。

私は、「歴女」ならぬ「明治女(めいじ・じょ)」にもなりたいと思います。

あしたのジョー 女」だけでなく^^;

 

改めて、樋口一葉さんのたけくらべについて

その内容を、私なりに、紹介させて頂きます。

 

一葉さんの作品は「たけくらべ」にかぎらず、優れていると私が思った点は

ストーリーの魅力、説得力、おもしろさだけでなく

文章表現の素晴らしさだと思います。

 

登場人物の設定、説明、時代背景、環境背景などの説明、場面の描写、人物の心理描写、人物のセリフなどが、簡潔で知性・感受性・ウィット・芸術性に富み、とてもすばらしいと思います。

小説だと思うのですが、まるでお芝居のシナリオのように感じる面もあります。

 

たけくらべ」は、私が読んだ文庫、原文でも、現代語訳でも、100ページ以内の文章です。

短い章で、十六章 あります。

 

たけくらべ」私なりの要約

 

1 舞台・時代の背景の描写(明治・吉原)

吉原に暮らす大人たちの仕事・職業・立場について。

その大人たちの子供達、子供達の通う学校(育英舎)について 。

信如についての説明。龍華寺の跡取り息子、真面目で大人しいが校内一の勉強家で、学校でも皆んなから一目置かれる十五歳、並みの背丈でイガグリ頭(短く刈った頭)で、どこか非凡な少年。名前は藤本信如。

 

2 主に吉原の子供達、横町組(下町的?)と表町組(上町的?)の対立

長吉についての説明。吉原の鳶職人の親方の息子。横町組のガキ大将的少年。十六才。

正太郎についての説明。表町組のお金持ちで祖母と二人暮らしの少年。十三才。

横町組と表町組の(と言うか、長吉と正太郎の)不仲、対立の理由。

(個人的に、少し「ウエストサイド物語」的な要素も感じました)

夏祭りの数日前、長吉は、知恵者として尊敬している信如の部屋を訪れ、常日頃の正太郎に対する怒りの愚痴を信如に打ち明け(ぶっちゃけ?)ます。

長吉は、祭りの日に、最近の正太郎の仕打ちに対する仕返し(?)をしたいので、その際、信如も「横町組」の仲間だと言うことで、力を貸して欲しいと頼みます。

あまり気が進まなかった信如も、長吉の懇願に負け、名前だけは貸すと、約束してしまいます。

 

3 美登利についての説明

当時流行りの華やかな装いと、可愛らしい容姿。明るく、おきゃんな性格。

紀州生まれ。が、姉が身売りした際、楼の主に将来(美しくなる事)を期待され、誘われて、両親と三人で、姉のいる吉原へやってきたようです。

姉の恩恵で羽振りが良く、周りの大人たちも金銭的に甘やかし、気前の良い美登利は、深く疑問も持たずに、友達のためにも散財します。

美登利は、幼馴染の正太郎と仲が良く、「表町組」の仲間たちと「今度のお祭りには幻燈をしよう」と話し合います。

 

4・5夏祭り当日の事件

美登利は、おめかしに時間がかかり、正太郎たち仲間が待つ筆屋に、なかなか現れません。1つ年上の美登利を姉のように慕いながら、密かに想いを寄せている正太郎は、美登利を待っていたのですが、夕食を先に済ませるよう、祖母が迎えにきたため、美登利と入れ違いなります。

 

母親によって、念入りに飾り付けられた美登利。迎えにきた三五郎とともに、筆屋に向かいます。一足遅れた三五郎は、正太郎を引き出すために「横町組」たちにやられてしまいます。

それを発端に、正太郎不在の中で「横町組」と「表町組」の喧嘩が始まります。

正太郎の代わりに「横町組」たちに怒りをぶつける美登利。

長吉たちに身の上を罵られ、草履をぶつけられます。

長吉は、捨て台詞に 「こっちには龍華寺の藤本がついてるぞ・・(松浦理英子:現代語訳より)」と怒鳴り、その場から逃げていきます。

 

6祭りの翌日、美登利と正太郎の描写

祭りの翌日、学校を休んだ美登利。お稲荷様へのお参り(日課のようです)のために出かけた美登利に正太郎が駆け寄り、昨日の事件について、自分が(不在のために)何もできなかったことを詫びます。

正太郎は、自分の家で一緒に遊ぼう、錦絵を見せてあげるからと誘います。

正太郎は、金貸しをしている祖母と二人暮らし。幼くして母は亡くなり、父は実家に戻ったとのこと。経済的には裕福だが、祖母との二人暮らしは、本当は寂しい、家族のいる子供たちが羨ましい、金貸しという家業も時々辛くなるのだなどと、本音を美登利に打ち明けます。

そんな正太郎を、彼女らしい、少女らしい優しさと言葉で窘めつつも慰める美登利。

正太郎も、美登利の美しさを褒めたり、美登利が姉であったら嬉しいのになどといいます。そして正太郎は、こういうのです。

ねえ美登利さん今度一緒に写真を撮らないか・・・龍華寺の奴が羨ましがるように、本当だぜあいつはきっと怒るよ、真青になって怒るよ・・(松浦理英子:現代語訳参照)

それに対し、恥ずかしそうに、やんわりと断る美登利

変に写ると、おまえに嫌われるから

元気のなかった美登利が吹き出して笑う姿を見て、ほっと(?)する正太郎。

私の家にも、また遊びにおいで、と言い、帰っていく美登利の姿を見送りながら、正太郎は(やはり)美しいと思ったのでした。

 

原文を読むまでは、知らなかったのですが、この物語では

正太郎(表町組のリーダーで、美登利の幼馴染)

長吉(横町組のガキ大将で、鳶職親方の倅)

という登場人物も、物語の重要な役どころとして、詳しく描写されているのです。 

 

というわけで

 

長吉   十六歳

信如   十五歳

美登利  十四歳

正太郎  十三歳

 

なので、改めて 

「思春期なお話なんだな」

と思いました。

 

という訳で、「日本の少年」「日本の少女」を感じさせると思ったこちらの二曲を。

   


福山雅治 少年 2015.3.21


Kataomoi - Chara

 

http://j-lyric.net/artist/a00177d/l01cfde.html

 

余談ですが、

「信如って銀河英雄伝説ヤン・ウェンリーに似てるな」

(大人しくて、優しくて、喧嘩はできないけど、知恵者という点が)

 

と、個人的に思いました。

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長文失礼しました。