こんにちは。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
2022年も、あと1ヶ月半ですね。
その影響なのでしょうか、最近私のブログの、下記の過去記事を読んでくださる方がいらっしゃるようで、とても嬉しいです。
書いて良かったなと感じています。読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
とても励みになります。
そんな事もありまして、『大つごもり』の私なりの訳の続きを、今回もいってみます。
今日は、重要人物が初登場します。
山村家の一人息子、石之助です。
それから、山村家の奥様のイライラの理由も少しわかってきます。
樋口一葉『大つごもり』私なりの現代語訳 その4
石之助といって、山村の長男息子がいるのだが、他の子供たちと母親が違っており、この息子に対する父親の愛情も薄い。
「この子を養子に出して、家督は妹娘の中から…」
と、親たちが相談しているのが十年も昔から耳に聞こえているので、石之助は面白くなかった。結果、(明治時代の)今の世の中でも、勘当とならないのがおかしい程に、自由気ままに遊び呆けて、義理の母の怒りも実父の事も、全く気にしない放蕩息子。十五の頃から不良になってしまったのだが…
男っぷりは渋くて二枚目、利口そうな眼差しで、肌は浅黒い。
「そこが素敵なのよ!」
などと、近所の娘たちの噂も聞こえるけれど…
ただ乱暴ばかりで、品川の遊郭で大騒ぎをしていたかと思えば、夜中に車を飛ばして、ごろつき達を叩き起こし、
「そーら、酒とつまみを買ってこい!」
と、財布を空にして無理を通す道楽者だった。
「とてもこの息子に家を継がせるなんて…油蔵へ火を放つ様なものです!財産は煙になって消えてしまうでしょうよ!私たちはどうしたらいいの?私の娘たちが不憫だわ!」
と、義理の母は、夫に絶え間なく石之助の悪口を言う。
「かといって、この放蕩息子を養子にと申し出る人も、この世にはないだろう。こうなったら、有り金の幾らかを分け与えて、若隠居の別戸籍に…」
と、内々の相談は決まっているのだけれど、石之助本人は、上の空に聞き流していて、親の言うなりになる気は無いのだった。
「そうだなあ…分配金は一万円で。それとは別に、隠居後の月々のお小遣いを下さいよ!そうすれば、いたずらに、この家に出入りはしませんよ。しかしだ!もしも父上が亡くなった暁には、俺は妹たちの親代わりの身だ!
『兄上様』と崇めて、かまどの神様の薪一本の事でも、俺の言う事を聞くと言うのでしたら、是非とも(今は)別宅の主人になって、この家のためには働きませんとも!それで宜しければ、仰せの通りになりましょう!」
などと、どこまでも嫌がらせを言って困らせるのだった。
「去年に比べて長屋も増えているし、山村家の所得は倍になっているはずだよ…」
と、世間様の口から自分の家の様子を聞き知る石之助。
「おかしいぞ、おかしいぞ!その様に財産を増やして、一体誰の物にする気なんだ?火事は燈明皿(油・紐・皿を使った灯取り)からだって起こるものだぜ?惣領長男と名乗る火の玉が転がるとは思わんのかねえ?そんな金はすぐに巻き上げちまって、お前達に楽しい正月をさせてやるぜ!」
と言って、伊皿子辺りの仲間達を喜ばせた石之助は、すっかり大晦日を当てにして、当日の大酒のどんちゃん騒ぎの場所も決めずにいたのだった。
今日はここまでにします。
参考文献は、こちらです。
余談ですが、私個人は、
今回の石之助のセリフの部分を書いていて、
「戸籍」と言う制度について、いろいろ考えてしまいました。
義理の母と実父の、勝手な相談取り決めに対して、十五で不良になった石之助の、両親への反撃も興味深いです。
今回、文章を書いていて、こちらの歌が頭をよぎりました。
youtubeを検索していて、こんな動画を見つけてしまいました。
すごく嬉しい!お3人ともお元気そうで、嬉しい&懐かしい✨
使ってはいけない動画でしたら、すみません。
良い子・悪い子・普通の子
というコントがありまして・・・その番組からでたヒット曲です。
個人的に、『大つごもり』の登場人物では
良い子 = お峯 と 三之助
悪い子 = 石之助
と言う、昔の価値観としての若者の描かれ方がされているなあ💦
と、感じています。
と・に・かっく と・びきっり の ♪
不良青年のレッテルを貼られている石之助の、両親に対する反骨精神に度肝を抜かれつつ・・・
改めて石之助は
100% どら息子〜 ♪
と言う訳でも… ない… らしい… かな?
と思った私でありました。
お付き合い、ありがとうございました。