芸術は心のごはん🍚

映画・小説・漫画・アニメ・音楽の感想、紹介文などを書いています。

映画「アウトサイダー」について  〜 夕映えと朝焼け 〜

こんにちは!

今日は、私が80年代中盤に、テレビ放送で観た映画について書きます。

 

1983年公開 「アウトサイダー」です。


The Outsiders (1983) Official Trailer - Matt Dillon, Tom Cruise Movie HD

 

私は映画公開時は、まだ映画館で洋画を見る事に目覚めていませんでした。

初めて観たのは、14か15歳の頃です。テレビ放映で初めて観ました。

(当時、受験生でした)

 

原作はS・E・ヒントンさんの同タイトルの小説です。

原作は1967年の作品ですので、当時のアメリカ(細かな場所はわかりませんm(_ _)m)が舞台と思われます。

 

うまく説明できませんが、「ソックス(お金持ちの学生グループ)」と「グリーサー(家庭的、経済的に恵まれていない不良少年達のグループ)」と呼ばれる少年少女達の反発、偏見、闘争、そうした環境の中で起こった悲劇、不条理、友情、恋心を描いた名作です。

 

主人公は「ポニーボーイ」と言う名前の14歳の少年です。彼はグリーサー。

三人兄弟の末っ子で、(おそらく)数年前に両親を事故で亡くしています。

 

長兄の「ダリー」はタフで責任感が強く、両親に代わって一家を支えようと努力しています。しかしまだ若すぎる。末っ子のポニーが可愛いのに、学問ができる弟を自分たちの環境から救いたいと思うあまりか、厳しくなりすぎて、ポニーとよく衝突してしまいます。

 

次兄の「ソーダポップ」は、超ハンサムで、いつも自然体で優しく、「兄」と「弟」のどちらも深く愛し、無欲な広い心で家族を精神的に支えています。

 

そのほかにも、個性的で魅力的なのですが、生まれ育った環境に苦しむグリーサーの仲間達が多数登場します。

 

グリーサー役の七人は、みんな主役級の役者さんです。

()内は、私が観た他の出演作です。

 

「ダラス」    マット・ディロン (「メリーに首ったけ」)

「ジョニー」   ラルフ・マッチオ (「ベスト・キッド」シリーズ)

「ポニーボーイ」 C・トーマス・ハウェル(「ソウル・マン」)

「ダリー」    パトリック・スウェイジ(「ゴースト」)

ソーダポップ」 ロブ・ロウ  (「セントエルモス・ファイアー」)

「ツービット」  エミリオ・エステバス(「ブレックファスト・クラブ」)

「スティーブ」  トム・クルーズ(「トップ・ガン」「ミッション・インポッシブル」等)

 

そして、紅一点 

「チェリー」   ダイアン・レイン(「ストリート・オブ・ファイアー」等)

 

と言う、超 豪華キャストなのです。

 

そして、監督さんは、巨匠 フランシス・コッポラ監督です。

 

そして、この映画のもう一つの魅力は、主題曲の素晴らしさです。

こちらは、映画の冒頭と主題曲のシーンです。


Stay Gold by Stevie Wonder - from movie The Outsiders + lyrics

 

この映画の印象的なシーン、小説のストーリーの中でも語られる、日没の夕映えと、夜明け、朝焼けの描写が、とても美しいです。

 

ジョニーとポニーボーイは、うっかり真夜中に外を彷徨っていた所を、「ソックス」のグループに見つけられ、袋叩きにされます。相手のソックスは酒に酔っていて容赦無く、仲間のポニーボーイは殺されそう。ジョニーは護身用のナイフを取り出し・・・

 

犯罪を犯してしまった少年二人は、「ダラス」に助けを求め、人里から離れた寂しい教会に、しばらく二人で隠れ住むことに。

 

その教会での生活で、二人は、ペーパーバックの「風と共に去りぬ」を読んだり、ポーカーをしたり・・夕暮れ時は、赤く染まる地平線をずっと観ていたり。

 

ある早朝、寒さで目覚めた二人は、ゆっくりと輝き出す風景に、目と心を奪われます。

 

その時、ポニーボーイが、覚えていた「フロスト」の詩を口にするのです。

横で聞いていたジョニーも、今の風景と心情にぴったりだ・・と言うような事を言って、驚くのです。

 

私は10代に録画したテレビ放映を、何回も見たので、その当時の日本語和訳のセリフでのイメージが強いです。

 

その「ロバート・フロスト」の詩と、映画の主題曲「stay gold」について、こちらの

ページを読ませて頂きました。

 

eigobu.jp

 

主題曲の歌詞・和訳はこちらを読ませて頂きました。

lyrics.red-goose.com

 

「平成」という一つの時代が終わろうとしていて、

「令和」という新しい時代のおとづれを思い、

 

(日本では)「昭和」時代に公開された、大好きな映画について書きたいと思いました。  

アウトサイダー [Blu-ray]

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原作はこちらです。 

アウトサイダー (集英社文庫―コバルト Y.A.シリーズ)

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新しい時代において、子供達、若者たちの教育として、

「体」「心」「頭脳」の教育が、3つとも大切にされる、

そして「芸術」の大切さ、重要さ、素晴らしさが大事にされる、

苦しみはあっても「喜び」と「安らぎ」のある世の中であってほしいと思いますし、一人の大人として、微力を尽くしたいと思います。

 

春休み替え歌 〜 「愛」のかんじ 〜

※   3月30日 夜更けに、(後半)かなり修正して 更新しました。m(_ _)m

 

こんにちは!

 

春ですね。春休み。

春といえば、それは私にとって、

「替え歌」の季節です。

イカリ 不安 ストレスを 浄化する 必要が増える 季節だからです。

 

と言うわけで、今日は、ミーシャさんの

「アイノカタチ」の替え歌で、

 

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MISIA Feat HIDE*アイノカタチ*フル*<歌詞付き>

 

「愛のかんじ」 いってみますm(_ _)m

 

あのね 漢字ドリル 気づいたんだ

「愛」が 「大」の 下 にあーって

それがとても 私の ツボ に ハマって しまいー

きっとずうっと 今よりもおっと ドリル・テスト 見るーたびに

その 「答え(回答)」は もーお あなたじゃなきゃ

きっと 怒り を 作って しまうね

 

あのね たーいーあーいー(大愛) だよおー

「変」にーはー 「心」がつかーないー 上半分がーねー

残念(?) 惜しい(?) 似てる(?) でも 違うよー

 

これか ら たくさんの ムズイ 漢字

知るたびに ふーえて いくのおー

「くさかんむり」 「こざとへん」

漢字に なってーいく

 

時に うっかり 「へん(変)」忘れて そして また

学・習 して いけーばー いい👌・・?

長い! 長い ロン・バケ(春休み)がー 

じわじわ すぎーてー いくー とーきー

ストレス 値が あーがーりー

イカリ の カタチ 見える 気がしたんだー

 

あのね はーちーじー すぎーたよおー (寝なさい!!)

何十回も 伝えーよう

じわじわと ふーえーた 

イカリは 全部 春の カタチ です

 

がーくーせい! まーじ で 大変 だねー

学年 がー ひとつ あーがーあって 

科目 増えるー たーびー

荷物 溢れ 吐息 こぼれーるん だ

 

新しい クーラースー でーもー 

親子して おーたーがーいーに 

ポジティブに いーこーう💦

あのね あのね ずうと 大好きだよ

大好きだよ 

ああ ありがとう

 

 

もうすぐ四月ですね。

 

お付き合い、ありがとうございます。 

松本隆さん愛  〜 2つの「タイム・トラベル」 〜

 こんばんは。

先日私は、自分にとっての映画について、こんな記事を書きました。

 

obachantoarts.hatenablog.jp

 

おとといは、おそらく無意識に書いていたと思うのですが。

「タイム・トラベル」と言う言葉を。

 

私は、ここ1年間くらい、寝るときに聴く音楽として「スピッツ」のベスト盤を好んでかけています。

やはり「スピッツ」の曲を聴くと、リラックス・モードになれると思うのです。

そのせいかなと、今日思いました。

 

 

3枚組で、全ての曲が、私は大好きです。

ただ、3枚目のCDを、初めて寝ながら聴いていた時、一曲だけ

 

「あれ?」

と思った曲がありました。

「これって、スピッツの曲だったっけ?」

と思っても、すぐには、原曲を思い出せませんでした。

 

すぐに歌詞カードで確認し、それが子供の頃に聴いた、原田真二さんが歌っていた曲だとわかりました。

そして、作詞者は、子供の頃から大変お世話になっている松本隆さん」で、作曲家が、歌手でもあります原田真二さん」だとわかりました。

 

改めて聴いて、とても謎めいて、おしゃれで、美しい曲だと思いました。

 


タイムトラベル 78 4 3

 

下の動画を見て、草野さんのトークを聞いて、激しく「ウンウン」と思いました。

 


SPITZ- time travel live video

 

どちらの「タイム・トラベル」も大好きです。

 

特に、松本隆さんの歌詞が大好きです。

 

特に好きなフレーズは、

 

「旧い館」「呼び鈴」

「蕃紅花(サフラン)色のドア」

「ハリウッド・クイーンまがいの君」

 

です。

 

昨日から、この曲が、頭から離れない私です。

 

松本隆さん、たくさんの、素敵な歌詞をありがとうございます。 

「あしたのジョー」愛  〜 のりちゃんはスミレの花 〜 

こんにちは。

色々考えまして、今回は「あしたのジョー」の

 

「のりちゃん」について、書きます。

紀子さんです。

 

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あしたのジョー」の全編にわたって、主人公のジョーの

「人生」「ボクシング」「青春」の身近な人たちの中で、

同年代の女性として登場するのは、

前回(あしたのジョーに関する記事で)、書きました「葉子さん」と

「のりちゃん」の、ほぼ二人だけです。

 

のりちゃんは、「丹下段平ボクシング・ジム」がある泪橋の近所、ドヤ街にある、個人食料品(?)店の一人娘さんです。

70年代アニメ「あしたのジョー」時は、まだ学生さんでした。

ジョーが少年院から出てドヤ街に戻った時、同僚であり友達の「マンモス西」は、すでにのりちゃんの家のお店の店員として働いていました。

ボクシングを続けるために、働いてお金を稼ぐ必要もあったため、「段平さん」と「西」の紹介で、「ジョー」も、のりちゃんの家の店で(イヤイヤ)働くことになるのですが・・

 

「ジョー」は、初めてのりちゃんとあった時、「葉子」と似ている・・と、思ったようです。

 

個人的な感想ですが「のりちゃん」と「葉子さん」には、結構、共通点があると思います。二人とも

 

「美しい少女」

「優しい少女」

「しっかり者」

「お世話好き」

そして・・・

「一人娘さん」

と言う点ではないかと。

 

一方、決定的な違いは

「葉子さん」白木財閥の後継娘さん

「紀子さん」ドヤ街個人商店の一人娘さん

と言う点ではないかと。

 

私は、最近、70年代アニメを、40話くらいまでみました。

 

33話は、ネタバレになりますが、

ジョーがデビュー戦を初勝利で飾った試合後の話です。

ドヤ街の子供達や、大人たち、控室に駆けつけて、みんなお祝いを言ってくれます。

のりちゃんも来ました。彼女は、やはり女の子。可愛らしい「すみれの花束」を持ってきたのですが、恥ずかしくてもじもじしていたところ、「葉子さん」からの注文でやってきた花屋が・・

ものすごく「大きな赤いバラの花束」を、ジョーに渡してしまいます。

のりちゃんよりも先に。

それでものりちゃんは、気後れしながらも、精一杯の勇気と真心で、自分の花束をジョーに渡すのですが・・ジョーは・・どこまでもあの矢吹ジョーなので・・

のりちゃんと言う乙女の前で、無神経にも

葉子さんのバラと、のりちゃんのすみれを・・みんなの前で・・比べてしまうのです。

 

私は「葉子さん」も「ジョー」も大好きなのですが、この時ばかりは、

 

ジョーの◯カヤ◯ーーー!!!

ヨーコの◯カヤ◯ーーー!!!

 

と、心の中で叫びました。

 

そしてその数日後、ジョーとのりちゃんは喧嘩します。その喧嘩が、とても可愛いのです。

そして、ジョーも反省して謝り、二人は仲直りをします。その場所も、公園だったような^^;

因みに、ジョーはちゃんと、すみれの花たばを、ジムに大事に飾っていました。

 

あしたのジョー2での、有名な二人のシーン。これはもう、この時代では、デートと言って良いと、個人的には思います。


真っ白な灰・・・ / あしたのジョー2 (劇場版)

 

やはりですね、ジョーの「初恋の女の子」は、のりちゃんだったのでは?

と、最近思います。

 

清楚で可憐なのりちゃんをイメージして、今日のBGMは、こちらです。

 


岩崎宏美 ...■1981-Jul-21... すみれ色の涙 (リチャード・クレイダーマンと共演)

 

あしたのジョー」の記事を書いていて、 

リチャード・クレイダーマンさんに出会えるとは、思っていませんでした。

 

ありがとうございます。

「映画」について 〜 自分にとっての映画 〜

 こんにちは!

最近、自分にとって、映画ってどういうものかな、と考えました。

 

若い頃の自分にとって、映画鑑賞とは、

 

「タイム・トラベル」

「海外旅行」

「歴史の勉強」

「(何かに興味を持つ)きっかけ」

「学び」

「地理の勉強」

「喜び」

「エンターテイメント」

 

そして、何よりも

 

「生きる活力の源」

 

のようなものでした。

 

「ニューシネマ・パラダイス」の主人公のトト少年は、「映画」が全てという感じでした。

私の時代と環境には、他にも「テレビ」「お笑い番組」「アニメ」「漫画」「小説」などもありましたが、私が子供の頃でも許されたものの中では、一番贅沢な「娯楽」だったと思います。

 

私は個人的に、子供と大人の師弟関係のお話に、心引かれるものが多いのですが、

「ニューシネマ・パラダイス」も、師弟の絆が大きなテーマでした。

 


Nuovo cinema Paradiso Trailer

 


Trailer - Nuovo Cinema Paradiso

 

私が初めてみた「イタリア映画」だったのではないかなと思います。 

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]

 

 

ブログを始めたばかりの、映画についての記事です。

obachantoarts.hatenablog.jp

 

お付き合いありがとうございます。

「たけくらべ」の替え歌② 〜 少年二人 〜

今日は、もう一つ「たけくらべ」替え歌を作りました。

 

寂しい歌なので、夜のうちにアップすることにしました。

 

佐野元春さんの「彼女」を、改めて聴いていて、

前半は 正太郎だなー

後半は 信如だなー

と思い、替え歌にしました。

 

という訳で、

佐野元春さんの「彼女」の替え歌で

 


佐野元春-彼女

 

「美登利さん」 前半 正太郎  

「あのこ」   後半 信如

 

(正太郎) 

おはやしー のー よーおーにー

幼さが 遠のいて ゆく

人混みに 残されて

美登利の 声は もう聞こえない

明るくーて 美しい

美登利を 慕って いた

耳に残る 笑い声

幻燈の様に くりかえーす

 

昨日まーでー 話してーいた

なかよし とは 思えーない

美登利の 声 は まるでー

霜月 のよーおに 冷たい

 

同じ 時代ーの中でー

二人は おどけ 続けーた

何が いけないのかー

教えて 欲しいのーさ

 

(信如)

大黒寮 格子 の外に

少しの あいだ 立っていた

鳥が 鳴きはじめて

町の 朝が 始まってゆく

 

このまーまー 朝冷えの 中で

かじかんで しまいそうだよ

僕だけが まだ 後悔

している のーか?

 

流れてーゆく 変わってーゆく

町の ざわめーきを あーとーにーして

流れてーゆく 変わってーゆく おおーおおー

夜明けまーえ

 

あのこーがー 運んでーきた

季節と 共に

僕は ここから

離れて ゆこう

 

辛い こーころー 押しかくし

あのこを 想って きた

胸に残る 水仙

いつーまでも 枯らーせなーい

 

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漫画「宇宙兄弟」35巻  〜 「約束」という生きがい 〜

こんばんは。

今日はもう1記事。

宇宙兄弟」35巻が昨日発売され、早速購読しました。

 

表紙が、内容の充実感、特別感を、全て物語っている様に感じました。

 

宇宙兄弟(35) (モーニング KC)

宇宙兄弟(35) (モーニング KC)

 

 

小山宙哉先生、スタッフの皆様、何時もありがとうございます。

 

一難去ってまた一難という中、それまでの情熱、努力、教え、絆が、希望をつないでいきます。

 

個人的に一番印象深かったところは・・ 

さらに進化していくブギー・・よりも

 

巻末の方で、よくムッタが聞いているラジオ番組(子供の質問にアメリカン・ジョーク的に答える)のDJの正体がわかった事でした。

 

ありがとうございます。

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その九 〜 子供時代の終わり 〜

こんにちは。

今回は、「たけくらべ」内容説明 ラストです。

 

16 祭りの後 霜の朝

 

美登利の急激な変化、言動にショックを受け、大黒屋の寮から駆け出した正太郎。

 

真一文字に駆けて(原文より)

人混みをかき分け、(溜まり場の)筆屋の店に飛び込んだ。

そこでは、三五郎が、酉の市の商売で稼いだ小金を前掛けにチャラつかせ、弟妹たちと買い物をしていた。

正太が来たのを見て、得意げに今日は俺が奢ってあげようか、などという。

動揺していた上に、(普段、見下している)三五郎にそう言われた正太は、

馬鹿にするな、俺は今はそれどころではない・・と塞ぎ込むと、三五郎は

喧嘩か?

相手は龍華寺か、長吉か、場所はどこだ、

今度は俺だって、前の様にはやられないよ・・などと言い出した。

ゑゑ気の早い奴め、喧嘩では無い、(原文より)

と言ったものの、本当の心配事は言いかねて、口を噤むと、

(三五郎)

だけど正さん、これからはもう喧嘩は起こりそうに無いね(長吉の片腕の)

信さんはもう近々何処かの坊さん学校へ這入(はい)るのだとさ、衣を着てしまへば手が出ねへや、(原文より)

・・来年からは横町も表もお前の手下だよ・・などと言って、正太郎をおだてた。

 (正太)

よしてくれ・・お前なんてあてにしてない・・

己れは人は頼まない真(ほん)の腕ッこで一度龍華寺とやりたかつたに、他処(ほか)へ行かれては仕方が無い、藤本は来年学校を卒業してから行くのだと聞いたが、(原文より)

急にどうして・・などと残念そうに舌打ちしながらも、

(正太郎は)それよりも美登利のその日の素振りが繰り返し思い出されて、筆屋に転がったまま、酉の市の祭り気分も吹っ飛び、今日は何がなんだか、訳がわからない事だらけ。

 

 その日を境に、美登利は以前の快活さをすっかり失った。出かけるのは廓の姉のところくらいで、以前の様に町で遊ばなくなり、友達が誘いに来ても空約束ばかりで、仲良しだった正太の事さえも避ける様に。

近所の人々は快活だった美登利が見られなくなった事を惜しみ、病気かと心配したが、

母親一人ほほ笑みては、今にお侠(おきゃん)の本性は現れまする、これは中休みと子細(わけ)ありげに言はれて、(原文より)

知らぬ者には意味がわからず、大人らしくなったと褒める人もいれば、あんなに面白い娘だったのにと、残念がる人も・・

表町は火が消えたように淋しくなり、

正太の美声を聞くことも稀で、ただ夜な夜なの弓張提燈(ゆみばりちょうちん)、あれは日がけの集めとはっきりしていて土手を行く影が何とも寒そうで、(現代語訳)

たまにお供をする三五郎の声だけが相変わらず滑稽に聞こえるのだった。

 

以前の出来事(?)の意地も封じ込め(?)、自分の身の上も恥ずかしくて、人を避けていた美登利は、信如の噂も、ずっと知らなかったのだが、

 

或る霜の朝水仙の作り花を格子門の外よりさし入れ置きし者の有りけり、(原文より)

誰のした事か知るすべはなかったが、

美登利は何ゆゑとなく懐かしき思ひにて違い棚の一輪ざしに入れて淋しく清き姿をめでけるが、(原文より)

 

聞くともなしに伝え聞いたそのあくる日は信如が例の学校に入り袖の色を変えてしまったまさに当日であったこと。(現代語訳より)

 

たけくらべ」最終章、ここでおしまいです。

 

16章の季節的な事ですが、

酉の市が11月です。

私は個人的に、霜の朝は、12月か、1月あたりではないかと推測しています。

 

結末までお話を辿ってみて改めて思ったのは、正太郎という少年の存在の大きさです。

 

今日は、最後という事もあり、3曲選んでみました。 

 

こちらは正太郎のイメージでした。


佐野元春-彼女

 

 美登利のイメージはこちらでした。


(追悼)いのちの記憶 歌詞付き

 

そして最終章の信如のイメージは、こちらの曲でした。やはり佐野元春さんでした。

www.nicozon.net

 

もう少し要約するつもりだったのですが、

略せる部分が、わかりませんでした。

 

皆様に「樋口一葉文学」の、そして「たけくらべ」の素晴らしさが、少しでも伝わりましたら、嬉しいです。

 

参考文献は、こちらです。 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

  

お付き合い、ありがとうございまいた。

 

映画「スイート・ノベンバー」 〜 特別な11月 〜

 こんばんは。

今日はもう1記事。

 

前回の「たけくらべ」15章のBGMに

こちらも迷ったという曲を紹介します。

 

エンヤさんの「Only Time」です。

 

私は、90年代からエンヤさんのファンなのですが、(最近事情には疎いです💦)

この曲には、映画の思い出もあるのです。

「スイート・ノベンバー」(キアヌ・リーブス シャーリーズ・セロン

という映画の主題曲でした。

映画館では見なかったと思うのですが、一度見ました。

 

簡単に言ってしまいますと、

11月少し前に始まり、11月の末にラストを迎える、悲しいラブ・ストーリーでした。

 

www.youtube.com

 

 映画の予告はこちら。


Sweet November trailer

 

広告代理店に勤める仕事人間の男性が、ある日、個性的な人生観と生活スタイルを持つ美しい女性と出会い、男性は女性から、(1ヶ月間限定という)突飛な共同生活の提案を持ちかけられます。理解できなかった男性は、一旦は断るも、ミス(?)によって、突然仕事を失ったこともあり、女性の提案を受け入れることに。

短く尊い時間の中で、お互い惹かれ合うのですが、女性の隠していた真実がわかり・・

 

60年代後半の映画のリメイクだった様です。

そして、賛否両論のあった(?)映画の様です。

私が印象的だったのは、ラストに男女がお互いのためにとったそれぞれの行動です。 

スウィート・ノベンバー [DVD]

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11月というと・・と考えていて、この映画を思い出しました。

 

・・今は3月なのに・・今日は春分なのに💧

 

ありがとうございます。 

 

樋口一葉「たけくらべ」の内容 その八 〜 大人に成るは 〜

※ 3月21日夕方に、一部、追記しました。

 

こんにちは!

今回も「たけくらべ 」についての続きです。

 

15 晩秋 打ち沈む美登利

 

つらく恥ずかしく、気おくれすることが自分の身にあるので人が褒めるのは嘲りに聞こえて、(現代語訳より)

飾り立てられた自分に振り返る人々の目も、軽蔑的にしか感じられない美登利。

正太さん私は自宅(うち)へ帰るよと言ふに、(原文より)

・・何かあったの?姉さんと喧嘩でもしたのか?

などと、正太郎に心配して尋ねられても、

何とも答えられず(?)

顔の赤らむばかり、(原文より)

連れ立って団子屋の前を通り過ぎる時、団子屋の息子から二人一緒なのをからかわれ、

(いっそう)惨めに感じた美登利は泣きそうな顔。

 

祭(酉の市)は一緒に行く約束だったのに、美登利が自宅の方へ急ぎ帰ろうとするので、約束と違うじゃないかと、正太が尋ねて袖を引っ張って(?)訝しがっても、

美登利顔のみ打赤めて、何でも無い、と言ふ声理由(わけ)あり。(原文より)

 

美登利が(大黒屋)寮の門を入っていったので、正太はいつもの勝手で、後から続いて縁先から上がり込むと、それを美登利の母親が見るなり、

おお正太さん宜く来て下さった、今朝から美登利の機嫌が悪くて皆あぐねて困ってゐます。遊んでやつて下されと言ふに、(原文より)

正太が加減がどうしたのかと尋ねると、

いいゑ、と母親怪しき笑顔をして少し経てば癒(なほ)りませう、いつでも極りの我がまま様(さん)、さぞお友達とも喧嘩しませうな、真実(ほんに)やり切れぬ嬢さまではあるとて見かへるに、(原文より)

美登利は、いつの間にか布団、かい巻きを部屋に出していて(帯と上着を脱ぎ捨て、そこに潜り込み?)

うつ伏し臥して物をも言はず。(原文より)

 

正太が心配そうに枕元に来て、どうしたのと声をかけても返事はなく、しのび泣いているので、正太は(幼いながらも)かける言葉がわからず、困るばかり。

自分が何か怒らせたのかと心配する正太に、そうではないですという美登利。

それならどうして・・と、聞かれても、

色々複雑で、誰にも言えない、話し辛いことなので、口では言えなくても頬が赤くなってしまう、ただ次第に心細くなり、

すべて昨日の美登利の身に覚えなかりし思ひをまうけて(原文より)

恥ずかしさ限りなく、

できる事ならずっと此処にこうして籠って、誰にも会わずに一人で暮らせたら・・

何時までも何時までも人形と紙雛(あね)さまとをあひ手にして飯事(ままごと)ばかりしてゐたらばさぞかし嬉しき事ならんを、ゑゑ厭や厭や、大人に成るは厭やな事、(原文より)

どうして大人にならねばならないのか・・一年も前に戻りたいのに・・

年寄りじみたことを考えて(現代語訳)

宥めようとする正太にも気遣いできず、感情的になり、

帰っておくれ正太さん、後生だから帰つておくれ、お前が居ると私は死んでしまふであらう、(原文より)

・・頭痛がする・・目が回る・・誰もそばに来ないでほしい・・

お前も何卒(どうぞ)帰つてと例に似合わぬ愛想づかし、(原文より)

正太も、突然の美登利の変わり様を理解できず、その言動に戸惑い傷つくばかり。

いつまでもいる様なら絶交だ・・とまで言われたので

それならば帰るよ、お邪魔様で御座いましたとて、(原文より)

 

風呂場で湯加減を見ている美登利の母には挨拶もせず、ふいと立って正太は庭先から駆け出したのだった。(現代語訳より)

(十五章は此処まで)

 

色々考えて、非常に意味深な美登利の母親の言動は

原文のまま、黄土色の太文字でかき出させて頂きました。 

 

今回のBGMは、敬愛する高畑監督の「かぐや姫の物語」より「天女の歌」です。


かぐや姫の物語 天女の歌

 

改めて、昔の親子事情、価値観について、考えさせられました。

 

娘の幸せ、女の幸せ、という事の価値観が、今とは違ったという事なのでしょうか。

 

明治という時代は、「開国」「文明開化」という激動の中で、もしかすると

文明・学問・物質社会というものが急速に発展し、それに人々が追いつこうともがき苦しむ中、

もしかすると

「心の教育」というものが、優先され難い時代だったのかなと、最近感じます。

 

現代にも言える事だと、個人的に思うのですが、

「人の情けを育みて(「天女の歌」歌詞より)とある様に

「心」「知識」「身体」の教育が、平行になされる事が、

「教育」「養育」なのではないかと、感じています。

 

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 参考文献はこちらです。 

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)

 

 

次回は、最終章の予定です。